上海十月

人情紙風船の上海十月のレビュー・感想・評価

人情紙風船(1937年製作の映画)
4.5
日本映画専門チャンネル日曜邦画劇場1000回記念に本作の4Kバージョン放送しかも山下達郎音声出演となって登場。こんな事なきゃ見直さない。個人的に本作との出会いは吉祥寺でビデオ屋でアルバイトしてた時だ。店長が本作持ってきてダビングして何本かと言われた。当時、著作権の認識が甘いし持ってきたのは前進座の関係者。(名前は言えないなぁ)前進座の劇場は、今はないが吉祥寺の南にあった。ついでに見ていて暗い辛気臭い映画だけど現代劇みたいと思ったのが初めて。その前進座で前進座出演映画の映画祭でも見に行ったりしました。その後何回か見直してるうちに雨上がりの雲や山中貞雄のバックグラウンドがわかって鑑賞すると深みにはまってくる。今回の4Kで長屋の奥に樽が積んであるのがよくわかって驚く。そばやが踊ってるシーンを見ながら黒澤明の「どん底」のモチーフじゃないかとも思いますね。そして三村明の撮影の凄さがわかる一本でもある。今回達郎からベンチャーズの来日公演の撮影も三村明だったと聴き、海外のアメリカの映画製作者から絶大な信頼がある人なのがわかる。戦後の広島の原爆フィルム、「八十日間世界一周」の日本編も三村明だ。山下達郎が戦前の日本映画を公言し始める前から達郎ファンだったが本当にマニアだとは「蒼氓」聴くまであまり信じてなかった。「蒼氓」は本作がモチーフの一つと言ってますね。今回「おやすみロージー」が「御誂治郎吉格子」のサイレント字幕からインスパイヤーって!どんだけ詳しい。達郎が言ってるから見ようと言う人いるとは思いますが好みの問題ですから期待しすぎないように。
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