尿道流れ者

人情紙風船の尿道流れ者のレビュー・感想・評価

人情紙風船(1937年製作の映画)
4.8
どう生きていくかという問題は誰にでもあって、きっと答えにはありつけない。そこに悩めば自ら命を絶つ人もいるし、悩みはあっても自分の仕事などに没頭してなんとかやり過ごして月に一度あるかないかの宴会があればそれで万事よしという人もいる。
貧しさから抜け出せず妻に嘘をつきながらもだましだまし生きている侍とその嘘に気づいてしまう妻。極道相手に無鉄砲な生き方をする髪結いの男。どちらも褒められた生き方ではないにしろしっかりと生きている。しかし、いつかそんな人生にも結末はくる。その時、侍と髪結いの男は変わっていた。侍は最後のプライド守れず、妻はその姿に愕然とし、髪結いの男は金よりも別のものをとった。

百万両の壺とは違い喜劇ではないが人情溢れる素晴らしい映画。人々の語り口やなめらかな映像などは落語のようで、映画の中に感じる日本の伝統芸能の部分が凄くきれい。切ない終わりかもしれないが粋な映画だった。