tak

メテオのtakのレビュー・感想・評価

メテオ(1979年製作の映画)
3.3
隕石が地球に落ちてくる話はたくさんあるけど、いったいどこがルーツなんだろう。おそらく「地球最後の日」だろか。50年代に映画化もされているが、僕が初めて触れたのは小説だった。小学生の頃に確か祖母から本をプレゼントされたのだ。地球から脱出する宇宙船、衝撃のクライマックスにビビリあがった僕は、それ以来本棚で背表紙見るのも怖くなってw。そんな話はこりごりだ、と思っていたはずなのだが、中坊になって叔父が隕石が地球にぶつかる映画に連れて行ってくれると言うので、喜んでついて行く。それが「メテオ」。

ショーン・コネリー、ナタリー・ウッド、カール・マルデン、米国大統領にヘンリー・フォンダ。まだ中坊だったから映画の知識は乏しかったけれど、少なくとも他の映画でも名前があがり、何かで観たことのある人たちだとは理解していた。007はもちろん、ナタリー・ウッドがヒロインの「ウエストサイド物語」は既に好きだったし、ソビエトの科学者を演ずるブライアン・キースが出演したドラマ「遥かなる西部」を中坊の頃真剣に見てたし。

「地球最後の日」の悲壮感、「妖星ゴラス」の荒唐無稽な展開、「ディープ・インパクト」の人間ドラマ、「アルマゲドン」はまあ置いといて、「ドント・ルック・アップ」の人間の醜さ。隕石が地球に落ちてくるといろんな物語がスクリーンの上で展開されてきた。「メテオ」は何が面白いかって、製作当時は東西冷戦真っ只中。そんな時期に米ソが協力して危機に立ち向かう映画というのが盛り上がる最大の要素だ。

ショーン・コネリー演ずる主人公は宇宙からの危機に備えるために人工衛星にミサイルを積む開発に携わった。しかし、不本意なことに軍事転用されてしまう。そこへ隕石衝突の危機。「メテオ」が他の作品と違うのは、デカいのが一つ落ちてくるだけじゃなくて、規模の小さなものも落ちてくる危機があること。最大の隕石に立ち向かう作戦が進む中で、基地のあるニューヨークに別の隕石が近づいてくるのだ。

ソ連が同様の核ミサイル衛星を持っていることを明かし、奇跡のタッグが実現。巨大隕石に真っ赤なソ連のミサイル、白いアメリカのミサイルが向かう場面が印象的だった。特にソ連のミサイルが登場すると、ロシア民謡みたいなメロディの劇伴が流れるのがいい。音楽担当ローレンス・ローゼンタールのいい仕事。

80年代にテレビ放送後、現在DVD化も配信もリバイバルもないとのこと。今観ると特撮はチープだし、話にも無理があるけど、あの時代にいろんな意味で頑張ってた映画だと思う。鑑賞記録は初回を記す。
tak

tak