【みんな~やってるか!】
店頭で見つけ当り屋レンタル。映画関連書で紹介を一度くらい読んだ気がするが、覚えてない。
71年作、ある男のリビドー地獄をただ下品に追う、谷岡ヤスジ原作のオトナ向け・表向きエログロアニメ。上映一週間で打ち切りとなったカルトムービー…らしいが、何すかこれ?
制作経緯は面白い。虫プロのエロアニメ『千夜一夜物語』を当てた日本ヘラルド映画が、お笑いでも当てんと企画したが大コケしたらしい。
女とやりて~と悶絶する男の半生。前年に三島由紀夫割腹事件が起きており、そっち方面に転んだりもするが、思ったほど過激じゃない。まあ、より世相が濁った現代に比べりゃね。
最後まで見るにはけっこう忍耐力が…。絵は大したことなくて、逆に言葉嬲りがスゴかった。それでも、同じ欲望から始まるたけしの『みんな~やってるか!』に比べれば、100倍くらいは過激。何も考えず、画面がやりて~と延々、絶叫している。根には破滅願望があるのだろね。行きつく先が…。
谷岡ヤスジってロクに読んでいなかったが、原作のナンセンスもセンスもぜんぶ、アニメにしたら吹っ飛んじゃった気がする。キャラも、動かすためのデフォルメで、東海林さだおみたいにのっぺりしている。
こちらのリビドーを刺激する女性キャラは若干出るので、それを頼りに最後まで乗り切りました。何か達成できたのかよくわかりませんが。
映画にキモチ良さだけを求めるようになってきた現代の方が、題材的には受け入れ易いはずなんだけど、表向きキモチ悪い映画だから、リバイバルしても誰も見ないでしょうね。
制作を指揮した、新倉雅美氏の半生がまたすごくて、本作失敗後もトラブルを起こして失踪、フィリピンで銃の運び屋をやって逮捕され、その後の行方はわからないとか。
トリップ用のネタとしてはいいかもしれないね。…他の用途は思いつきません。
<2019.10.10記>