くろまめ

あげまんのくろまめのレビュー・感想・評価

あげまん(1990年製作の映画)
2.0
『 あげまん』って言葉今でも使うよね。
ずっと下ネタだと思ってた。
でも改めて調べてみたら、芸人さんが使う隠語って説もあるらしい。

・間のとり方が良い人の事
・人と人の間合いを上手く取り持つ人の事

芸を上げる間が上手いから、訛って『 あげまん』。
でも、主に女性に使われるから、下ネタも少しは含まれているのかも。




とにかく、伊丹十三らしい話しだった。
この人にバブルを撮らせたら、右に出る者いないんじゃないかな。
金、金、女、金。って感じ。
現代ではリアリティー無い程の金がそこら中に溢れてる。



そのキーパーソンになるのが『 あげまん』の宮本信子。
この人って、若い頃は綺麗だった。とかじゃなくて、ずっと変わらない顔だと思う。
特別美人じゃないのに、時々はっとする様な、惹き付けられる美しさがある。
まさに、宮本信子の為の映画。
日舞も、三味線もかなり堂に入ってて、水あげの時の『 浅い川』の舞はドキっとした。




でも、物語は伊丹監督らしく、ドロドロ。
お馴染みの俳優、津川雅彦や大滝秀治、宝田明、豪華だわー。
若かったなーって思うんだけど、大滝秀治はこの頃から既におじいちゃんのまま、ずっと時が止まっているから不思議。




金さえあれば何でも出来る。女も抱きたい放題。
そんな欲だらけの中で、必要なのは『 運とツキ』それを呼び寄せるのが『 あげまん』それが宮本信子演じるナヨコ。



でも、観てたらナヨコって、すっごく尽くすし、持ち上げてくれるし、慰めてくれる。
これは、現代女性が忘れた『 女性らしさ』なんじゃないか?
1歩後ろに引く奥ゆかしさと、気立ての良さと、行動力が、結局は男を良い気分にして、でも甘やかし過ぎないで、オシリ叩く所はちゃんと叩く。
そんな女がいれば、男だって仕事頑張っちゃうもんね。
その頑張りの結果が金に繋がる。
『 あげまん』って言葉はやっぱり下ネタじゃなくて、『 間』の事じゃないかなって思わされた。



個人的には、お弁当を届けに行ったホテルで、津川雅彦、お前は散々女遊びしておいて、ナヨコを責める資格はないぞ!と、突っ込みたかった。
まぁ、惚れた女が手篭めにされたら怒るか。
それにしても、怒りの矛先違うし、あのセリフは無いよね。
あと、お父さんの「つまんねぇなぁ」ってセリフが印象的だった。




内容的には、『 マルサの女』とかの方が好きだけど、宮本信子の演技力の高さを観るだけでも価値がある作品だと思った。



ちなみに、宮本信子は本当に『 あげまん』なんじゃないかな?
だって、伊丹作品にほぼ主演で出てて、全てヒットしてる。
コレを『 あげまん』と呼ばずして何と呼ぼう。
くろまめ

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