Mee

それでもボクはやってないのMeeのネタバレレビュー・内容・結末

それでもボクはやってない(2007年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

胸糞悪………
タイトル、『それでもボクはやってない』×痴漢冤罪モノという事でこりゃあ後味悪いぞと覚悟して観たらやっぱり胸糞悪い…

被害者意識による先入観も周囲の痴漢に対する先入観も映画としての真実を踏まえて客観的に見るとひどいもので、警察も司法も被害者周辺も虚言癖があるとしか思えなかった。
司法も警察も面子を保つ為、保身の為に有罪へと誘導していくような事実確認や質問でこれが現実に行われているのか?と恐ろしくなった。
「被害者の証言には臨場感があり…」なんてあなたの先入観と受け止め方だろう。
99.9が前提になる事、恐ろしい。
人は良くも悪くも嘘をつけるからなあ。

〝取り敢えず〟有罪にされた主人公、最後の語りは本当に胸を締め付けられるようで、無罪なのに時間もお金も社会的信頼も何もかも失われる冤罪について深く考えさせられる映画となった。

逆にこれが雫井脩介さんの名著である『火の粉』のように死刑判決を下すか否かとかだったら、最後の判子を押すのは裁判官なので死刑に値する加害者を懲役刑で済ませてしまったりと、やはり人が人を裁く事の限界を感じる。
人間に感情がある以上、完全無欠な公平は有り得ない。

最近なんかは男性が痴漢として捕まえられたら面倒事を避ける為に無罪であっても示談金を支払う事を狙った道徳観念の欠如した女性がいたりして、人間って本当に色んな人がいるなあと感じる。
私人逮捕と認められる為、駅員室には絶対に行かないでその場で身分証を提示して立ち去るか、弁護士を呼ぶか、絶対的に逃げ切れるという確信を持てるならば最悪逃げるか…取り敢えず第三者の証言を募らないといかんな。

「神のみぞ知るのではない、ボクを裁けるのはボクだけだ」というのはズシンときた。
〝神〟と聞くと急に掴み所がなくなって遠い所にあるような、納得するしかないような感じになってしまうけれど、〝誰よりも真実に近いのは自分自身〟というのを意識すると一気に現実に引き戻されたような感覚になった。
身近なんだ、現実なんだと。
現実に誤った実刑判決が下されたのだと。
Mee

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