あしからず

散り行く花のあしからずのレビュー・感想・評価

散り行く花(1919年製作の映画)
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リリアン・ギッシュのための美しき悲劇映画。
「勝手にしやがれ」でも引用された2本の指で口の端を持ち上げて無理矢理つくる笑顔のシーンの衝撃。目には恐怖をたたえ口元だけ笑う歪さがとんでもなくしんどい。この撮影時26歳とは思えない程幼く見えるリリアン・ギッシュの可憐さが一層作品の悲劇性を高めている。

サイレントだからなのか役者の身体表現が雄弁で、中国人青年の猫背やリリアン・ギッシュの力ない歩き方や身体の傾き、また特に恐怖の表情がすごい。サイレントなのに甲高い悲鳴が聞こえて来そうな臨場感がある。てかお父さんがマジで怖いシャイニング。
リリアン・ギッシュに恋する中国人青年はまあロリコン。原作では少し性的なものを匂わす描写があるらしいけど映画はプラトニックなのでギリセーフ。

グリフィスは「國民の創生」のせいで評価は分かれるがそれとは切り離して、この作品は異国情緒と虐待の悲惨さと美しいリリアン・ギッシュを味わえる古典名作映画だった。
特典の淀川さんの解説がえ、そんな場面あったっけ?という捏造を含んでてちょっと笑った
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