桃井かおりと岩下志麻の芝居合戦が凄過ぎる松本清張原作のサスペンス。
サスペンスとして脚本が面白いのは間違い無いのだが、それ以上にキャストの芝居に圧倒されてしまう作品である。
球磨子を乗せた車は、ノンストップで海に落ちていく。
なんとか球磨子は泳いで生き延びたが、夫の福太郎はそのまま死亡してしまう。
しかし球磨子に対して、殺害容疑がかけられる。
彼女は大変太々しい性格、前科が4つもある、且つ多額の保険金を夫に掛けていた為、警察は益々疑うのである。
そんな彼女だったか、遂に拘束され、裁判に掛けられる事になり、国選弁護人の佐原律子が弁護する事になるのだが…
桃井かおりらしさ全開の太々しくて、堂々とした芝居がとことん際立っていた。
この球磨子と言う役柄を他に演じられる人はいないのでは無いかと思う。
そして、そこに威風堂々とした岩下志麻が絡んでくる事によって、一気にヒートアップしていくのが面白い。
構成自体も微妙に時系列を前後したり、ジワジワと進めているかと思ったら、スパッと切ったりと、常に飽きない工夫が見受けられた。
何度も鑑賞したくなる一作のひとつになった。