TaiRa

女は二度生まれるのTaiRaのレビュー・感想・評価

女は二度生まれる(1961年製作の映画)
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芸者の若尾文子が男を転々としながら軽妙に生きて行く様でいて、最終的にはめちゃくちゃシビアな着地。

靖国神社の鐘が聞こえる花街の芸者がふらふらと生きてる。芸者なのに芸なし、でも美人だから客は取れるという絶妙なポジション。売春防止法以後の時代の変わり目で、芸者やるにもやり辛い。馴染み客の二号さんになるか、いい人見つけて足抜けするか、ホステスあたりに転職するか。流れに身を任せてあまり真剣に考えてなさそうな感じが若尾文子上手い。山村聡の愛人やってみるも説教されたり束縛されたり、色々大変。遊び相手に若い男とつるんだりするけど、所詮は芸者の女としてしか見られない侘しさ。フランキー堺みたいな気のいい男と出会って堅気の恋愛なんかを考えてみるが、気が付いたら取り残されてる。ジリジリと選択肢が消えて行くアラサー芸者の焦燥感。終盤の畳み掛けが最高に最悪で、電車の中の気まずい再会やラストの喧騒が過ぎ去って一人残される若尾文子の佇まいが良い。結末はシビアだが、どこかしぶとさを感じるのが若尾文子の絶妙なところ。中盤までの若尾文子の可愛さが滲む粋なやり取りが大好き。藤巻潤にまず本名を教えるとこも、フランキー堺のお店に行ってみるとこも。あと、布団にうつ伏せで寝転んだ若尾文子を足側から撮ってみせる川島雄三の「女は尻」という美学に共感しきり。渋谷パンテオンの内装が見れる映画。
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