河志麻二十日

フェリーニのローマの河志麻二十日のレビュー・感想・評価

フェリーニのローマ(1972年製作の映画)
3.9
とても不思議な映画。ローマをテーマにしたオムニバス映画のような構成ではありますが、そのどれもが明確なストーリーがあるわけではなく、その点でドキュメンタリーのようにも見えるし、あからさまに劇映画のように見える演出もあって、不思議な映画でした。ですが、そんなことは関係なく、ずっと見入ってしまいました。どの画も魅力的で、飽きないのです。ストーリーに引き込まれるのではなく、映像だけに引き込まれるというのも、なかなか味わえないものです。ストーリーとは少し異なりますが、台詞は相変わらずフェリーニらしく、緩急がはっきりしていて、マシンガントークのところはリズミカルな台詞の応酬が面白いです。
フェリーニらしいところを、やっとまた見つけました。というのは、円弧を描いて画が横に流れながら、ズームする(しないことも多々あり)ものです。この撮り方で、画面に吸い込まれるような画が出来上がり、映画、ひいてはローマを幻想的で妖艶で、少し危険な雰囲気に演出しています。
兎にも角にも、何故か見入ってしまう不思議な映画でした。