冷蔵庫とプリンター

革命前夜の冷蔵庫とプリンターのレビュー・感想・評価

革命前夜(1964年製作の映画)
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 タイトルからして青臭いが、創造通りの青春拗らせ映画で、「僕にとってイデオロギーはバカンスだった」という言葉にあるように、そのことに主人公が自覚的なところが面白い。しかし金持ちの坊ちゃんの悩みほど共感し難いものもない。没落貴族をことさら切なく抒情的に描くところもそうだが、オペラ版マクベスなんか見てプロジョワ生活に甘んじ、最後には許嫁と穏当に結婚するくせに悩むなんて傲慢だとすら思った。
 叔母が別の男といるのを見て茫然自失、気づいたらゴダールの『女は女である』を見ているというナイーブさ。ヌーヴェルバーグの影響を隠そうともしないのはむしろ清々しい。面白かった。