セッセエリボー

アパッチ砦のセッセエリボーのレビュー・感想・評価

アパッチ砦(1948年製作の映画)
4.7
サイレント時代とカラー時代のいいとこどりな感じでとんでもなく洗練されている。ジョンフォードほどイデオロギーの教化装置としての映画の機能を効果的に利用した作家はいないのではないか。一体どうやって撮っているのかわからないが荒野を疾走する馬たちの迫力は現代のどんな超大作も足元にも及ばない。人物像がいつもより書き割りでなくてドラマとしても珍しく繊細にできててよかった。服装とかがステレオタイプというのはあるかもしれないがこういうのを見ると先住民を差別的に扱っているどころか北米大陸征服のかなり本質的な問題を捉えているように思える。誰の目にも愚かでしかない突撃の果てに死んだ男が突然神格化され、共存に理解のあったジョンウェインが侵略者に転じているラストに色々ゾッとする。あと初級スペイン語リスニングコーナーがあって助かった。会話のなかで活用で人称を見分けるのむずすぎるな…。