クシーくん

少年猿飛佐助のクシーくんのレビュー・感想・評価

少年猿飛佐助(1959年製作の映画)
3.5
東洋のディズニーを目指して作られた東映動画(現:東映アニメーション)の「白蛇伝」に続く長編第2作目。白蛇伝と異なり猿飛佐助という日本人なら誰でも知っているキャラクターを利用した辺りは無難な選択と言える。
当時の粋を凝らしたであろうアニメーションは今見ると流石にぎこちない部分が目立つものの、年代ものとして観れば十分に楽しめる作品である。
後続に大いに影響を与えたであろう忍術のエフェクトの数々は今見ても結構ワクワクさせられた。話は実に分かりやすい勧善懲悪で、猿飛佐助の忍術合戦とくれば当然真田幸村に三好清海入道も加わり山賊とのチャンチャンバラバラが繰り広がる楽しい娯楽作品に仕上がっている。

主人公の佐助はお姉さん思いで、動物たちを可愛がるただの良い子ちゃんかと思いきや、山賊相手には無言で柿をぶん投げたり、上田城の門番を忍術でからかってみたりと、なかなかやんちゃで魅力的な美少年だ。動物たちはちょっとディズニーの模倣が過ぎたように思う。猿の動きだけはオリジナリティーを感じたが、鹿の親子はほとんどバンビそのものに見えた。まあ可愛いから良いけど。
悪役の夜叉姫はキャラクターも伝奇小説から抜け出たような正統の造形で、娘道成寺と鏡獅子の混ざった舞姿も不気味で素敵。

キャスティングで注目すべき点はおちゃっぴい(死語)な女の子、おけいちゃん役を松島トモ子が演じているということぐらいだろうか。ライオンで有名な松島トモ子の演技(といってもアニメだが)を初めて見た。
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