クシーくん

バタリアンのクシーくんのネタバレレビュー・内容・結末

バタリアン(1985年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

実は観たことなかった作品。「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」は真実だった!で笑っちゃった。んなワケねえだろ!まあその前に「この映画は真実だけを描いている。したがって人物や団体名もすべて実名である」の時点で、ああギャグなんだなと分かる親切設計。

1984年、ケンタッキー州ルイヴィル。医薬品会社に勤めるフランクは新人のフレディに、社長の留守をいいことに奇妙な話を始める。NOTLDは実際の出来事を基にした映画で、米軍が開発した人間をゾンビ化させる薬品ガスが流出し、死体が蘇った。軍は不始末を隠蔽し、全て闇に葬り去ろうとしたが、運送業者の手違いで(…)この会社に運ばれ、地下に保管されているのだという。冗談だと取り合わないフレディを地下に案内し、ドラム缶に入った、干物のようにしなびた死体を見せるフランク。「これ蘇らないよな…?」と怯えるフレディにフランクが「米軍特製のドラム缶だぜ?大丈夫!HAHAHA」とドラム缶を平手打ち…した途端にガスがドバーッ!ウギャー!からのタイトルバック!笑い殺す気か。

帰ってきた社長は激怒狼狽、世間にバレたら大変な事になると、なんとか近所の葬儀屋を抱き込み、ゾンビを焼却炉で燃やす事に成功する。焼けばセーフかと思いきや燃えた薬品が煙に乗って辺り一帯を覆い、雨となって墓地に降り注ぎ、大量のゾンビを生み出してしまう…ああ悪循環。驚愕のラストまで含めて、一見解決したかに見えた行動がかえって裏目に出てしまう構成が最後まで飽きさせない。

NOTLDの正統続編を名乗るものの、いわゆるオマージュでは全然無く、走るゾンビ、てこの原理を応用するゾンビ、警察になりすまして応援要請をするゾンビ、車両誘導のバイト(?)をするゾンビと、知能は生前と変わらず、ただ凶暴性だけはそのままで、首を切り落としても燃やしても無敵という、ある意味それまでのゾンビ像を悉く覆すアンチテーゼである事で、それが同時に独自性を備えている。

適度な緊迫感を保ちつつ、フレディの友人達のアホな行動でしっかり笑いを取って来るバランス感覚も秀逸。墓場で何故か全裸になってストリップを始めるトラッシュが特にアホ過ぎてホラーなのに終始笑顔でいられた。
タールマン、オバンバの異様な造形もさることながら、ゾンビに襲撃されてるシーンでパンクロックをガンガン流すセンスも尖りまくってて、カルト的人気を誇ったのも納得。
クシーくん

クシーくん