れこーど

きみに読む物語のれこーどのレビュー・感想・評価

きみに読む物語(2004年製作の映画)
4.5
凄い純愛映画ですね〜。若い女性は特に好きそうなストーリーです。
若い恋はどこに向かうか分からないもの。それが構成に表れていて、しかもこの映画の核心なので、ネタバレなしでは何も書けません。f^_^; 初見時はせめてハラハラして欲しい。よって予備知識なしでの鑑賞をオススメしたいので、未見の方は観てから、以下読みましょう。
自然が見事に撮られた風景映画でもある。



実話ですかね。実話ベースの映画並みの説得力を感じました。実際に夫婦でほぼ同時に亡くなった話を聞いたことがありますし。

この映画のキーパーソンは母親(名優ジョアン・アレン)なんですよね。この母親に説得力があれば名作になるんです。
最初、この母親のノア(ライアン・ゴズリング)への拒絶反応が常軌を逸しているので違和感を感じましたが、母親は後半でやっと心の底にしまっていた逸話を話します。これが娘のアリー(レイチェル・マクアダムス)を貧しい労働者と結婚させない理由だったんです。ただ、作中では言ってないし、私の誤解かもしれませんが、彼女はその事に後悔してるんじゃないかな。今の旦那さんが金持ちなだけでなく、優しくて思いやりのある理想的な人なのに、、、。 金持ちなのに心の不幸な設定の映画はよくありますが、彼女(母親)はそうじゃない。金持ちで充実した毎日を過ごしている。それでも『あの時、別の選択をしていたら、、、、』と思ってるんです。若かりし恋、全身を貫いた恋を信じきれなかった自分がいる。彼女もまた娘に負けない恋をしていて、若気の至り程度と思って反対していた訳じゃない。このままの生活の中で安定した人と結ばれれば将来が約束されるはず。でも、一方で迷い(後悔)があって最終的な選択は娘に任せたのも頷(うなず)けるんです。(逆にあの前半部分をひと夏の経験程度で、若気の至り(他のものに夢中になれば忘れられる恋心)とみたのでは、この映画には感動しないし、もったいない見方だと思います。)

もう1つこの映画で良かったのが、彼が彼女と恋に落ちて真剣にこれからの事を考え始めるところです。
『彼女の未来は明るく、自分の未来は何もなかった。』
これは彼を本当に絶望させたと思います。教育レベルが低く、しがない田舎生まれの彼には重くのしかかるでしょう。男はこういうところが現実的なんですよね。だから手紙は書いても会いには行けなかったんだと思います。

実際には、結婚してからの方が大変で、結婚生活はそんなにすんなり行かなかったはず、と思うんですが伏線が答えてくれていると思いました。
彼が無心で作り上げた家(新築より簡単なリフォーム)が驚くほど良く、高く売れそうだった。これもあり得る話で伏線としても有効だと思いました。
現在のアメリカでは実力のある建築家は、非常に高収入なんです。医者、弁護士より上のランク、ステータスです。アメリカ人は住宅への美意識がとても高いんです。製材所に勤めてて、建築関係の技術を備えていた、というのが偶然かもしれないが、すごい幸運かもと思いました。あの時代で彼が平均以上の大工なら一家族くらい安定して養うことは出来ると思います。時代の波に乗って裕福にすらなるでしょう。
でも、彼女との生活に光明が見えた時には、もう彼女は人のものになっていたんです。人生のいたずらとはこういうこと。
ここにもリアリティ、脚本の厚みを感じました。これは実話なんじゃないかとすら私は思いました。

女の本質は恋愛にあるが、男は仕事の中にある。だから仕事の不安がある限り彼女との結婚は望まないし、家族を養えないなら別れを選ぶ。映画の冒頭の老人2人と物語の若者2人をつなぐにはこの不安を解消してないとおかしいし、リアリティに欠けてしまう。



序盤の夏の出会いからお互いの気持ちを確かめ合う夜のところまで、彼をどんどん好きになっていくアリー(レイチェル・マクアダムス)が本当に素晴らしく、引き込まれました。

時代背景がより純粋なものにさせてもいるのかな。つまらん恋愛映画を見るくらいなら、これを10回観た方がいいですよね。
とにかく全身全霊で恋をしたことのある貴方なら名作!(笑)


追記
やはり実話ベースでした。原作者の奥さん方の祖父母の話だそうです。
1940年頃のアメリカの片田舎の実際の恋物語を見事に紡ぎだした傑作!