このレビューはネタバレを含みます
20年ぶり3回目の鑑賞。これまで、奥崎謙三という人間のインパクトが強すぎ、奥崎謙三にばかり目が行っていたけれど、3回目にしてようやく、他の人間の個性も目に入るようになった。原監督が言うように、映画は3回見ないといけないな。(←20年ぶりで言うな)
被害者の妹さんを筆頭に、奥崎謙三に突撃訪問される人たちも、けっこうアクが強いことに気づく。
「被害者の名誉のために言えない」という偽善や、「みんなやってた」という言い訳にヘドが出る。奥崎謙三が言うように、罪に向かい合っていない、自分がやったことに責任をとっていないのだな、と思う。こうやって、何事も隠して、忘れようとする日本人の体質は、今の政治にもずっと引き継がれているなぁと思う。
ナチスの戦争犯罪を徹底的に暴き、反省しているドイツとは大きな違い。
宮台真司がいつも語っている「からっぽの日本人」がよく見える。それに対して、信念に対して「法外」でも突き進んでいく奥崎謙三の姿は対照的。
ただ、やっぱり最後、罪を犯した本人ではなく、「息子」を重体にしてしまった点にヒーローではない狂った「犯罪者」を見る。それはなんて言い訳したって、絶対許されないことだよ…。自分は「神様の愛い奴」だという奥崎謙三の思い上がりを見る気がする。