年頃の娘を持つお父さんには感涙もの
昭和50年代から北海道のど真ん中、幌舞駅(架空の設定)に勤める駅員の男の仕事一徹な生き様を過去と現在を行き来しながら、冬の北海道の風景と厳しい寒さ、人々の人情、風俗、過疎、産業の盛衰、男の友情、国鉄からJRへの移行状況などを織り交ぜながら描く。昭和の男を体現する高倉健と10代の広末涼子の輝きが絡む平成11年の作品。
今では蒸気機関車を維持、走行させるのも大変で、幌舞駅のロケ地である富良野市の幾寅駅の路線も廃止されたので、既に歴史遺産的作品なのかも。
あり得ないよな、という場面も愚直に鉄路を守ってきた男へのご褒美のファンタジーと思えば納得。幌舞駅の雰囲気が母親の実家の最寄駅の雰囲気に似ていたり、東北各地の訛りを混ぜたような話し言葉が親近感を感じる。
ハミングで繰り返し流すテネシーワルツは高倉健の元妻 江利チエミのヒット曲、二人の関係を調べてみると、江利チエミへのレクイエムに思え、この映画の隠し味。
志村けん、奈良岡朋子、田中好子などがまだ健在、高倉健、吉岡秀隆は冬の北海道が舞台の作品が多いな。
来年は昭和100年、昭和50年代ももう歴史なんだなと感慨。
「輸送効率と採算の問題」
「なして泣かないの泣いてやつてよ」
「俺はポッポやだから身内のことで泣くわけにいかんでしょ」
「この雪みたいにキレイな子になるかな」
「はんかくせえ」