ヒロ

罪の天使たちのヒロのレビュー・感想・評価

罪の天使たち(1943年製作の映画)
4.4
役者に感情がある!!!
カットバック超うめぇ〜!!!
これが“ブレッソン以前のブレッソン”かと文字で認識していたモノを初めて目の当たりにし感動している、身を以て百聞は一見に如かずを体験した。でもやはりフレーム内外問わず“音による空間表現”はすでに確立されているし、刑務所のアンヌ=マリーとテレーズのカットバックに顕著なモノクロを最大限に活かした陰影の付け方は神がかっているし、ラストカットはもはやブレッソン以外の何者でもない。修道院という俗世を離れた謂わゆる神に近いとされる存在にクローズアップすることでより浮き彫りになる“人間の醜さ”、アンヌ=マリーをさらに無垢なモノに置き換えテーマの純度を高めたものが『バルタザールどこへ行く』であり、そんな醜い人間が集合して創り上げられた社会に対する当然の厭世観を以って描かれる圧倒的虚無が『たぶん悪魔が』であり、その終着点が『ラルジャン』なのだと、ブレッソンをブレッソンたらしめる徹底した冷徹な視点というのはこの頃から健在でブレッソン以前のブレッソンであれ結局はブレッソン映画であると認識できる核の強さに作家としての圧倒的な格の違いを感じた。それにラストシーンやべぇよ、やっぱ凄ぇよ。

《ゴーモン映画〜映画誕生と共に歩んできた歴史〜》
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