キャストとスタッフを監督自ら面と向かって褒め殺す変なオープニングに“満遍ない善意は周り回って寧ろ悪意”なそういう毒薬かと勘繰ってたら、憎み合った30年夫婦が互いに毒を盛り合うまんまな毒薬でまったく関係ないのすらおもろい。ギトリ自身が出演してないのでいつものマシンガントークは抑えめだが、爆音ラジオを背景に不味そうな晩飯を汚らしく搔き込むしつこめのカットバックには強烈なリアリティを、大人達の法廷劇と子供達のおままごとのクロスカットには容赦ないアイロニーを、ギャグとマジの配分がガチ。この内容でなぜあのエンドを迎えられるのかどうやっても計算が合わないのだが、そこはミシェルシモンのキャリアとキャラに当て書いたギトリの勝ち。同じ殺鼠剤でギトリとギヨンこうまで違うのかとさらに笑える。
〈知られざるサッシャ・ギトリの世界へ〉
2023-23