B姐さん

殺人の追憶のB姐さんのレビュー・感想・評価

殺人の追憶(2003年製作の映画)
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人に薦めていたら無性に観たくなり再鑑賞。
初めて観た時の、スクリーンに映し出されたフィルムのザラっとした不気味な感触はDVDからは得られなかったが、それでも文句なく面白い。
なぜ訓練の空襲警報、灯火管制のシーンや、「機動隊がデモ鎮圧で不足してる」の台詞などがあるのだろうか?1986年の軍事政権下の説明ショットだけではないだろう。そういったコンテクストから観てみると、最後の「普通のひと」といった少女の台詞まで色んな意味を帯びてくるのが不思議だ。
そして終盤の「トンネル」のシーン。まるで『善悪の彼岸』(月並み!)を具現化したような場面を劇場で観ている時に、あの漆黒の闇にゆっくりとズームするショットを見て、持っていかれるぐらいの感覚になったが、今回はそれとは別に「ああ、この頃1つのシーン、ショットで全てを表す映画ってみないなあ」と寂しく感じてしまった。
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