公開当時に劇場で観て以来の再鑑賞。
序盤はほとんど覚えてなかったけど、中盤以降で緊迫感が心を離さない見応えある人間ドラマとして急加速。
クライマックスで一気に記憶も蘇り、その重苦しい鋭利な空気感も手伝い、グッと心に来ましたね。
雨の情景に、トンネルという舞台設定。そこでぶつかり合う男たちの激情。絵的にも、感情的にも、映画のシーンとして映えまくる。
答えのない殺人事件を題材にしたことで、安易に犯人探しに固執することなく、思う存分に刑事たちの揺れ動く葛藤を描くことに成功。
それがクライマックスで一気に溢れ出る、まさに”映画”という出来栄えだなと感じました。
ポン・ジュノは前作『ほえる犬は噛まない』からこの映画ではガラっと作風を変えてるけど、振り幅が2つある監督で、コメディでもシリアスでも芯がしっかりしている。
この映画でも、基本的には重厚感があるけど、コメディ要素が味にもなってて妙に印象に残ったりします。
陰毛がない男を探して銭湯でキョロキョロしてるソン・ガンホとか、死体の膣内から桃が出てくる…とかね(笑) なんだコレ?って感じが、やたらと際立つ。
また、題材となった連続殺人事件、時効後の2019年に真犯人が発覚している。ただ、この映画は犯人がわからない状態だったからこそ出来た物語で、そういう意味ではもう作れない作品。
再鑑賞ゆえに、そういった点でも興味深く観ることが出来ました。