Keitan

殺人の追憶のKeitanのレビュー・感想・評価

殺人の追憶(2003年製作の映画)
3.8
『終わることがない事件を忘れさせないお話』

20200211 030
ポン・ジュノ監督の振り返りも折り返しくらい。過去作の中でも評価の高い本作を鑑賞。笑いと悲劇とバイオレンス、そして雨w。「パラサイト」へと続く監督の作家性の原点みたいなものを確認した。事件捜査に疑問を投げかけるテーマ性もしっかり描かれる。ただいろいろな要素のバランスやテンポは当たり前だが「パラサイト」の完成度には及ばない。この頃からソン・ガンホはポン作品に無くてはならない存在だったことも認識。コメディとシリアスの演技の振り幅がとても自然。

見終わった後に調べたら実際の事件をベースにした物語らしい。でも多分、連続レイプ殺人事件という題材のみが実話で、主役の2人の刑事などは、監督のフィクションだと思われる。序盤では証拠を捏造するソン・ガンホの捜査を批判していたソウルから来た敏腕のソ刑事が、最後には闇堕ちしていくところなど逆に人間味を感じられて、両キャラクターがとても上手く配置されているなと感じた。

最後にネタバレ的に言ってしまうと、事件が解決しない珍しい結末の映画。でもある種のカタルシスはあるのが不思議。そもそも未解決事件という題材を選んだことからも、監督が描きたかったのは単なる犯人探しのサスペンスでないことは理解出来る。ラスト、17年後に再び現場に訪れ、未だ捕まらない犯人を追憶するソン・ガンホのカメラ目線のアップが印象的。未解決の物語は我々の記憶にも刻まれる。