韓国で実際に起こった華城連続殺人事件を題材にした映画。
本件は未解決だから映画のオチも最初から分かってるんだけどそれでも見せ方が上手くて引き込まれる。
結局劇中では犯人は分からないものの限りなく近そうな断定犯を追い込む過程はスリリングで面白い。
捜査パートと一緒にしっかりと当時の韓国の政治情勢なんかも入れてる辺りもさすがポン・ジュノ。
当時の韓国は朴正煕大統領が暗殺されて全斗煥が政権を握っていたゴリゴリの軍事政権国家。
夜になると軍事演習なんかが頻繁に行われていてサイレンが鳴ると外出禁止だったんだとか。
一斉に店仕舞いするシーンなんかはそれを表している。
実話系の映画って割と淡々と進んで行く事が多いけど今作は随所随所に盛り上がるシーンもしっかりと入っていて飽きない。
追いかけっこや尋問や最後のDNA鑑定の結果を見るシーン等の全てに緊張感もあって撮り方や演出も素晴らしい。
ソン・ガンホとキム・サンギョンのコンビもデコボコ感あって面白いのと最後は暴力型と知性型の性格が入れ替わるのも良いスパイスになってる。
無実の人達を尋問で蹴りまくってた特に荒っぽいチョ・ヨング刑事が最後にはあの足を失うっていう皮肉も良き。
スクリーンの向こう側に居る犯人を見つめるように終わるラストシーンもこの映画の終わりとしては完璧ではないかね。
ちなみに去年33年ぶりにイ・チュンジェという真犯人が特定されたらしいんだけど時効が成立してて逮捕は出来ないらしい。
劇中最後に犯人扱いされたパク・ヒョンギュではなかったから彼は実際犯人ではなかったという訳だ。
未解決事件の映画だとゾディアックも面白いけどこちらもかなり面白かった。