おりょうSNK

地下鉄のザジのおりょうSNKのレビュー・感想・評価

地下鉄のザジ(1960年製作の映画)
5.0
あの変形二階建てバスに乗りたい。

「地下鉄のザジ」
Zazie dans le métro
1960年フランス 89分
NHK BS放映 録画鑑賞

昔に見たのいつだったのだろう?と思ってかなり頑張って調べてみたところ、おそらく1985年、読売テレビの深夜枠。このオタクの執念、平和のために有効活用できないものか。

田舎からパリにやってきたザジ10才は地下鉄に乗りたい。が、あいにくストライキの最中で、オッサンどもとドタバタ珍騒動を繰り広げることに…

流れるような人や物の動かし方がとにかく愉快で、もし映画撮るなら真似してみたいショットもたくさんある!
人間てんこ盛りタクシー、ナイトガウンからの早着替え(ボディダブル)、階段、鏡、ヒッチコックもデパルマもたぶん好きな屋根、エッフェル塔のらせん階段、渋滞を抜けてシャーシだけで走るザジたち!ボディダブルや映像トリックが満載で超楽しい!

そうだ、いまのCGにないのは楽しさだ。若手監督も昔ながらの映像トリックを使って撮ったらきっと面白い映画が出来そう。もちろんテクニックを駆使して撮られてると思うけど、ザジみたいなやつやってみて!そうすれば、「優しい」が褒めるところがない人へ言う言葉のように(異論は認める)、「映像がきれい」はそこしか褒めるところがない映画への言葉で(異論は認める)、ザジみたいなDIYな映画が少しでも増えれば、若者が映画本来の面白さに気づくのではなかろうか?
などと、「マッドゴッド」でフィル・ティペットに勇気を与えた若者たちのエピソードを聞いて思ったことをまた思う。
あ!「ラストナイト・イン・ソーホー」でエドガー・ライトがあのシーンでアナログやってたのを思い出した。

この映画上手は、俺たちのブルック・シールズを世に広めてくれたルイ・マル監督。権力者や特権階級に対して口が悪いザジだけど、それが耳障りにならない、おおらかなユーモアが全編に溢れてる。

たぶん関係ないけど、「フェリスはある朝突然に」ってザジ的なことをやりたかったのかな。ザジもキャメロンも、「年を取った」だけ。あの世でジョン・ヒューズに聞いてみたい。
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