とーるさんし

朝霧街道のとーるさんしのレビュー・感想・評価

朝霧街道(1961年製作の映画)
4.0
山城新伍と木暮実千代との関係性の演出が実に見事。冒頭の身投げと勘違いしての出会いから余計な台詞を挟まず画面先行型で、雨宿りの場面での布巾や焚き火を取り合う可笑しみのあるやり取りからエピローグの言葉のない別れまで、サイレント映画を経験していないと撮れない演出が横溢しており大変愉快。

あと他の方も指摘されているが、山城新伍の喧嘩を後景に木暮実千代が酒を呑むショットの、山城視点から木暮視点へ一瞬で転換する鮮やかさは加藤泰の天才の顕れ。

ローアングルの多用と横移動も含めて作家性も存分に味わえる。加藤泰はあらかた観たつもりだったが、まだこんなに面白いのがあったのかと。
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