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歓びの毒牙(きば)のホーガンのレビュー・感想・評価

歓びの毒牙(きば)(1969年製作の映画)
3.5
敬愛すべきダリオ・アルジェントの過去作から再鑑賞、レビューしてみようのコーナー。その第一弾はダリオ記念すべき長編監督第一作。本作と「わたしは目撃者」、「4匹の蠅」が所謂「動物三部作」と呼ばれている。原題に動物(鳥や虫を含む)を含むからね。この三部作はいずれもジャーロと呼ばれるジャンルで、よく見てみればその後の傑作に繋がるアイデアが含まれている。

殺人現場を目撃する主人公、その後の警察の取り調べで違和感を覚えるのだが何がおかしいのか思い出せない、、、このアイデアは「サスペリアPART2」にも引き継がれている。

ジャーロというジャンルは、ミステリー要素はかなり適当ではあって殺人者の主観による殺人シーンが特徴的なのだが、その殺人者は概ね手しか見せず、必ず黒手袋をしているというフォーマットも本作で採用されている。黒手袋をさせる理由は、性別を明確にさせない目的が大きいとは思うけどね。

また、その後のダリオ作品でも良く見る「刃物を並べる」というのも本作で採用。やっぱり刃物を並べるテーブルは赤い敷物なのも本作で見られる。

犯人は何かしらのトラウマを持っているのもフォーマットの一つ。美術品をそれに絡ませるのもアートっぽい。

つまり、一作目にしてダリオのジャーロがすでに出来上がっていることが分かる。暴力表現の過激化やロックの使用、極色彩はもう少し経ってから、だね。音楽は巨匠エンニオ・モリコーネ作。フリージャズっぽい激しさは後のロックやメタルの使用に引き継がれる。
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