とうじ

歓びの毒牙(きば)のとうじのレビュー・感想・評価

歓びの毒牙(きば)(1969年製作の映画)
4.0
かなり昔に見た。
夢を見てる感じでずっと進むのが特徴で、安い推理小説の枠組みが、その曖昧模糊とした雰囲気と異常によくマッチしている。一般的な世界から逸脱して、少しズレた不条理の中、観客は主人公と共になんとかもがき続ける。その点で「ブルーベルベット」や「アイズワイドシャット」と似通っているのだが(細かいところでも、残虐性、マスキュリニティの敗北、同性愛、性癖、鍵となるアイテム、覗き、パラノイア、というように、重なる部分が非常に目立つ)、本作が突出しているのは、自らが夢であることに全く無自覚の姿勢を最後までとり続けていることだ。よって、嫌な即物性が絶えず存在し、見ている間、本当に変なものを見てしまっている感覚になる。
あと、「母なる証明」「ラストナイトインソーホー」「マリグナント」に確実に影響を与えている。
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