イロカワ

レイチェルの結婚のイロカワのレビュー・感想・評価

レイチェルの結婚(2008年製作の映画)
5.0
 羊たちの沈黙のジョナサン・デミ監督が作ったファミリー映画。姉の結婚式が行われるまでを描く。羊たちの沈黙的な物凄く作り込まれた映画ではなく、ファミリームービーのような家族が記録したかのような手持ちのブレブレな映像。
 この映画は誰の視点なんだろうと不思議な気持ちで見ていたが、この映画に名前しか出演していない、超重要な人間が一人いる。灯籠流しのシーンを見て、これは彼の視点の映画なんだなと思った。
 主人公はアン・ハサウェイ演じるキム。彼女はある事故が原因で完全に精神のバランスを崩した事があり、姉の結婚式に合わせて精神病院を仮退院してきた。キムが誰かと話すシーンは相当キツイ。共感性羞恥で見ていられない。彼女が口を開くと空気が凍りつく。KYの人が場を盛り上げようと必死に面白い事を言おうとするが、話せば話すほど白けていく地獄のような空間。本当にイヤーな空気を描いた映画。
 癒えない傷を背負った家族が、それでもお互いを愛し合おうとする切ない映画。キムのような周りに適応できない孤独な人間にはあまりにも刺激が強すぎてキツかった。
イロカワ

イロカワ