パンケーキレンズ

レイチェルの結婚のパンケーキレンズのレビュー・感想・評価

レイチェルの結婚(2008年製作の映画)
3.5
『羊たちの沈黙』のジョナサン・デミ監督×シドニー・ルメットの娘ジェニー・ルメット脚本とあって、サスペンス性の強いヒリヒリとした感情を纏った、ある家族の風景

幸せの絶頂と
その対極にある暗い影…

しかも、その幕開けとして、セバスチャン・スタンがいきなりちょい役で登場とあって、ちょっとテンションアップ♪

基本的にセリフセリフの積み重ねで、場面場面としての引力に欠ける映画なんですけど、ドキュメンタリーっぽい作風が吉と出て、まるで、家族の修羅場を覗き見しているような半端ない緊張感に包まれ、最後までブワーっとガン見でしたね

「たばこ」の頻出によって表される主人公の不安定な心境

タイトルの「レイチェル」ってのはアン・ハサウェイの事ではなくて、彼女のお姉さん役の名前で、「ある理由」によって「ある所」にいたアンちゃんは、姉の結婚式の為に親族が集まる家に帰ってきたのです・・・

暗くて重くて、あまりに色んな事が詰め込まれてるテーマでも、アンちゃんの魅力が光っていて、意外と見やすく飲み込みやすい映画に仕上がってるところに、サラっとした上手さを感じたりもした

もう少し映像として印象的なシーンがあってもいいかな~とは思ったけど、基本セリフが中心だからこそ、母親との対峙や、「食洗器」のシーンが鮮烈な印象を残して行きますね

どちらかというと垢抜けない脚本が、アンちゃんを持って来る事で、キチンと垢抜けてるというか

しかも
人は誰しも、誰かの助けなしでは生きていけない、そこから来る「噛み合わせの悪さ」の切れ味が効いてる

うん・・・

姉も、妹も、父親も、みんなの気持ちが分かる

分かるからこそ、負のスパイラルに陥ってしまう所の危うさに、どうしようもない不安とヒリヒリさを感じた

それにしても、映画に出てくる結婚式って、なんであんなに素敵なんかね~♪、登場人物の心情が隅々まで丁寧に描かれているからこそ、結婚式のシーンはちょっとウルっとしてしまったわ・・・