ピースオブケイク

孤高のメスのピースオブケイクのレビュー・感想・評価

孤高のメス(2010年製作の映画)
4.0
テーマが明確で何のヒネリもない、とても分かり易い、このテーマならそれがいい!と思った。ALWAYS三丁目の夕日シリーズの堤真一さんも大好きだけど、この映画のめちゃくちゃシリアスで2枚目役もいい。真面目で仕事一筋だけど、オペ中に演歌を流すという、どこか憎めないキャラクター外科医当麻を見事に演じている。腕が良く、結果を残す人やから周りの人も許すんやね。なんで演歌やねん!って思ったけど、『我々の仕事は例えて言うなら、手編みのセーターをコツコツ編んでいくようなもの、耐えて忍んで地道に堅実に、だからオペには演歌が合うんです。』なるほどーって思った。

終始、夏川結衣さん演じる看護師中村の、時代が昭和から平成に変わった頃を振り返る日記をベースにしたナレーションで物語が進む。片田舎の市民病院の現実に落胆していた看護師中村は、ピッツバーグ帰りの優秀な医師当麻の登場で看護師本来の使命を思い出し、少しずつ取り戻していく。そして、中村だけでなく、周りの看護師、若手医師も影響を受けて変わって行く。

『外科医にとって大切なことは、目の前で苦しんでいる患者を救うことだよ、大学の慣例ではない。』これは、医師本来の使命を忘れかけていた若手に対して当麻がかけた言葉。

『医師であり続けることは、医師になることの何十倍も難しいんだよ。』これは、命を救えなかったことを悔いて医師を辞めようとしていた若手に当麻がかけた言葉。

人の命に直接関わる仕事故の重さは確かにあるけど、どんな仕事も一緒だと思った。仕事本来の使命に向き合うこと、それをチームで共有し遂行すること、そして若手育成の大切さ。

柄本明さん、余貴美子さん、松重豊さん、など脇役の皆さんの演技も素晴らしかったです。