ピースオブケイク

The Son/息子のピースオブケイクのレビュー・感想・評価

The Son/息子(2022年製作の映画)
4.1
ファーザーはミステリー調の流れで、最後まで謎の多い構成だったけど、この映画は観客にとっては分かり易い流れになっている。共通しているのは、どちらも家族に関する問題を非常にリアルに描いているという点。大体、心配している方に転げ落ちるように話が進んでしまう。

主演の弁護士ピーター役を演じたヒュージャックマンの演技がお見事過ぎて、めちゃくちゃ感情移入してしまった。息子ニコラスを演じたゼン・マクグラス、元奥さんケイトを演じたローラ・ダーン、今奥さんベスを演じたヴァネッサ・カービー、今回はちょい役のファーザー(前作とは無縁)アンソニーを演じたアンソニー・ホプキンスの演技も、それぞれの役どころを完璧に演じ切っていたと思う。ヒュージャックマンはカッコ悪い演技も完璧で、やっぱりカッコ良かった。

ピーターは果たして良い父親なのか?息子に寄り添っているつもりだけど、本当の声を聴けていない、良いと思う方向に導いているつもりなんだけど、自分の物差しで測っている、選択肢を与えているつもりが押し付けになってしまっている。一方、ピーターの父アンソニーは、家族が大変な時に放ったらかしで自分第一主義、それを微塵も後悔していない。この対比で見ると、明らかに父親としてはピーターの方が頑張っていた。自身が目指していたやりたかった仕事を迷いなく諦め息子と向き合おうとしたピーター、ただ、経験も専門知識も乏しいにも関わらず、全てを自分だけで解決できると考えて頑張り過ぎちゃったのが良くなかったんだと思う。実際、難しいよなぁ…。自分にも息子がいるけど、アンソニーほどじゃないけど、結構、放ったらかしだったかも。でも、立派に育ってくれた息子に感謝😆

ピーターのちょっと変なノリノリダンスに誘われ、ニコラス、ベスも加わって3人で踊るシーンが好き。ホンマに楽しそー。