ポルりん

超人機メタルダーのポルりんのレビュー・感想・評価

超人機メタルダー(1987年製作の映画)
2.3
メタルヒーローのマンネリ化を避ける為に制作された作品が、この「超人機メタルダー」である。
メタルダーは第二次大戦中、日本軍の起死回生の為に、古賀竜一郎博士によって作られた人造人間だ。
時速240kmで走り、150mものジャンプをし、飛び蹴りをすれば10トンの岩を破壊する事ができ、チョップで100mmもの鋼鉄を切断する。
また、1.5km離れた場所のゴルフボールを見るほどの恐ろしい視力を持ち、戦闘時は相手の弱点を即座に解析するといった恐ろしいスペックの持ち主である。
更に、自動操縦や飛行可能なサイドカー・サイドファントムと飛行形態に変身可能な乗用車メタルチャージャーなど、現代の車とは比較にならない高度な技術が用いられている。
この技術を量産出来たら、余裕でアメリカに勝っていたのに・・・。
それと幾ら何でも人造人間や車に敵性言語を付けすぎじゃないのか??
軍部のお偉いさんが来たら、メタルダーの事を「金属だー」とでも呼んでいたのだろうか・・・。

このように第二次世界大戦中に作られたなど無理のある設定があったりと、この設定だけ見ると駄作っぽいが、重厚な大人向けのストーリーや数多くの魅力的なキャラクター(主に敵キャラ)、そしてそれを最大限に活かした音楽などなかなかに素晴らしい作品となっている。
また、メタルダーの敵組織は、当時としては珍しく「ヨロイ軍団」、「戦闘ロボット軍団」、「機甲軍団」、「モンスター軍団」の4つに分かれており、その中では厳しい階級制度も存在する。
それにより、組織内の出世争いといった現実世界を髣髴とさせる設定が不思議なリアリティを生み出し、物語を更に素晴らしいものにしている。

魅力的なキャラクターが多い作品であるが、個人的に一番好きなキャラクターは、孤高のガンマン「トップガンダー」である。
デザインとしては、ハカイダーを思わせる漆黒のボディーをメインに、タイガージョーを髣髴とさせる隻眼といった味のあるものとなっている。
ライフルを扱っている姿もカッコいいが、中でも一番カッコいいのが、「正義を守るためには、フェアプレイでなければならない」という信念を貫き通し、常にメタルダーと1対1のフェアな真剣勝負を求める所である。
こうして考えると、本作でのメインの敵に当たるタグ兄弟って、


タグ兄弟「いざ尋常に勝負!!」


とか言いながら、メタルダーに兄弟2人で襲い掛かってくるのは全然フェアな勝負じゃないよな・・・。
話しをトップガンダーに戻して、トップガンダーは敵組織である敵幹部ではあったが、終盤には敵組織と決別し、メタルダーと共闘するもメイン回路を破壊され、最期はメタルダーの腕の中で手を握って絶命する。
卑怯を嫌い、組織に与せず我が道を行く。
そして、最後は地球の為に戦いヒーローの腕の中で散っていく。
最高にカッコいいぜ!!


カッコいいといえば、「超人機メタルダー」の曲はどれも作品内のテーマや雰囲気にマッチしていてカッコいい。
いや、「超人機メタルダー」に限らず、特撮ソングはカッコいい曲が多い。いや、多すぎる!!
これをきっかけに特撮ソングについて色々と考えてみたのだが、特撮ソングにカッコいい曲が多いのは、ストレートに作品のテーマを歌い上げているからではないだろうか・・・。

例えば「宇宙刑事ギャバン」では、「子供たちに名もない花を踏みつけられない男になる」との決意を表明し、「宇宙刑事シャリバン」では、「倒れたら立ち上がり前よりも強くなれ」と作品のテーマやメッセージを、ストレートに単純明快に伝えている。
実にストレートでカッコいい!!

そして、数ある特撮ソングの中でも、ひときわ異彩を放つメッセージソングが、本作のオープニング主題歌でもある「君の青春は輝いてるか」である。
この曲は、オープニング主題歌にも関わらず、ヒーローの名前ばかりか技の名前も敵組織の名前も一切出てこない。
ひたすら聞き手に対して、自分に恥じない生き方をしているかを問い詰めるといったものとなっており、少々説教臭い曲ではある。
しかし、仕事で挫折したり、何かしらの大きな壁にぶち当たった際に、突然歌詞が蘇ってきて、ハッとさせられ元気が出たりと素晴らしい曲となっている。


テレビ版の「超人機メタルダー」は特撮の中でもかなり好きな作品であるが、劇場版となっている本作は微妙な作品となっている。
敵組織を主軸にしたのはいいのだが、全体を映しすぎてキャラクターの魅力がそこまで活かされておらず、かなり散漫になってるように思える。
とはいえ、敵組織のボスである帝王ゴッドネロスが寝込んでるのを部下が心配して、必死になって神頼みしたのに、


ゴッドネロス「寝込んでたの嘘でした。てへぺろ☆(・ω<)」


など、とても世界征服を企む組織のボスとは思えないお茶目な姿を見せたり、敵が射撃訓練で4発以上撃って一発も当たってないのに


雑兵「ただ今の命中率・・・60%!!」(いや、0%だよ・・・。)


と謎の忖度をしたりと違う意味で見どころはある。
ポルりん

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