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若さま侍捕物帖のkojikojiのレビュー・感想・評価

若さま侍捕物帖(1960年製作の映画)
3.8
「ニュー・シネマ・パラダイス」のトト少年が、アメリカ映画に夢中になっていたように、私も物心ついた時には映画館の中にいた。
 幸い両親が大の映画好きで、映画館に行くのは決まって祖母に両親、4人の兄弟の家族全員だった。
 観るのは、東映チャンバラ映画が中心、それに裕次郎、旭の日活アクション映画。時に長谷川一夫大映映画、タマーに、高田浩吉の松竹映画。そんな感じだった。でもきっと大映、松竹は併映だったと思う。

 当時の東映チャンバラ映画の名だたる俳優たち、誰の作品も観た。
月形竜之介、片岡千恵蔵、市川右太衛門、大川橋蔵、中村錦之助、近衛十四郎、大友柳太郎、美空ひばりこんな面々が主役の映画。それぞれシリーズを持っていた。盆と正月にはオールキャストの映画が楽しみだった。

 私の母は東映なら橋蔵、日活なら裕次郎。とにかくこの二人が大好きだった。そんな影響もきっとあったに違いないが、私も橋蔵ファンだ。

橋蔵のシリーズものと言えば、まずは新吾シリーズなのだが、この若様捕物帳も観た。9本撮っている。
本作は第8作だ。 
明朗時代劇の決定版。40年ぶりに観た「若様侍捕物帳」は若様の台詞が面白かった。

#1291
1960年 東映映画
■原作:城昌幸
■監督:佐々木康
この監督さん、旗本退屈男や水戸黄門をとっている。だから主流だったのではないか。
 この映画もいかにも東映映画という感じのシーン取り。
■脚本:結束信二

 御用商酒問屋伊勢屋の清酒で、毒見役が命を失い、見廻り役もまた何者かに暗殺された。
 その科で一門は遠島、店は取り潰しと決まる。
 伊勢屋は病に伏し絶命した。 目明し小吉と与力佐々島はこの事件を解決すべく、若さまに相談する。若さまの推理が始まる。

 40年振りに観ると、若さまはすごく新鮮だった。こんなに気持ちよく笑えて、楽しめる映画だったのか。
 今、眠狂四郎のマラソンをやってるが、狂四郎の魅力を除けば、スタッフは圧倒的に差がある。やはり当時の東映の勢いはすごい。

 まず、橋蔵の流れるような殺陣は、その後否定されることになるのだが、今観返すと実に美しく、一つ一つの所作が素晴らしい。何分間に40〜50人ぐらい切り倒す。乱れがない。
当時映画館で「よっ」とか「待ってました!」の声があがっていたが、これなら当然と思えた。
 それに加えて、橋蔵は声がいい。忘れていたけど、橋蔵のセリフも当時痺れていたんだった。

 絶対に忘れてはいけない、脇を固める山形勲、三島雅夫は、実に演技が上手い。この二人の会話は見飽きない。こんなにうまかったのかと驚く。良い演技をしている。

 歌って踊って、アクションが素晴らしい。今のインド映画の原点は東映映画にあるのではないか?
最高😀!

2023.07.15視聴331
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