おがわともひろ

座頭市牢破りのおがわともひろのネタバレレビュー・内容・結末

座頭市牢破り(1967年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

町人が射的するも全く当たらない。それを笑う市。怒っていきり立った町人は盲人の市に的を射らせようとするが、市は町人が狙っていた的よりも小さい的を要求する。的を設置した店の女にみっつほど的を叩かせ、そしてみっつめと同時に放たれた矢は女の手の先を通りぬけ見事に的を射抜ききる…市の耳は常人の目よりもはるかに高精度なソナーである事を見せつけ物語は始まる。

勝プロ第1作目にしてこれまでの基本である“アウトサイダーな市が斬る勧善懲悪王道ストーリー”に見事に沿った気持ち良い作品。

話の最後に細川俊之さん演じる大原が「市さん…とうとう大地に血を吸わせてしまったな…」という言葉に市は返す。「でもこの大地ってのは…先生がいなくては困るんでしょ…いつまでもお達者で…」そう残すと大勢の農民に惜しまれながら市はひとり去る。そして広くなったあぜ道を歩く市を写したカメラがゆっくり大きく引いて幕は降りる。この市の返しの間と絵があまりに素晴らしく勝新の凄さが凝縮されている。観ていてほんに気持ちいい。