atsushi

ドイツ零年のatsushiのレビュー・感想・評価

ドイツ零年(1948年製作の映画)
4.0
『無防備都市』のラストは子供達のショットで終わったと記憶していますが、今作はあの時に感じた微かな希望のようなものとは全く正反対のラストを提示する。僅か3年の間にロッセリーニに何があったのか。それは今作が9歳という若さで急逝したロッセリーニの息子ロマーノに捧げられていることに起因するでしょう。或いは、当時のイタリアとドイツの社会的情勢に依るものかもしれません。とにかく、被写体への徹底的に冷たい視線は、私に何も分からせてくれない。少年の無表情がことごとくこちらの理解を拒み退ける。アンドレ・バザンの言う通り、それがロッセリーニのリアリズムだと言うのなら、あくまでもその作家性は一貫しているのかもしれない。ロッセリーニの助監督も務め、彼を慕っていたことで有名なトリュフォーはまたこうも言う。

"要するに、ロッセリーニの方法とは、つねに人間が問題なのだ。あまりにも雑多ないつわりの作り話のために見失われていた<人間>を再発見すること。"

だと。

2024/05/20 1回目
atsushi

atsushi