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史上最大の作戦のmitakosamaのレビュー・感想・評価

史上最大の作戦(1962年製作の映画)
4.2
言わずと知れた一大戦争叙事詩。ノルマンディ上陸作戦を圧倒的な人海戦術で再現した名作戦争映画ですよ。

ナチスによるヨーロッパ支配がロシア侵攻の膠着化した状態で、連合軍による反撃作戦が始まる。
冒頭でロンメル将軍がノルマンディの海岸を防衛線にすると宣言。この1日が連合軍にとってもナチスにとっても「The Longest Day」だと言い放つ。ジャジャジャジャーン!ここでタイトル。痺れるぅ!

レジスタンスの暗躍、連合軍の作戦決行時期の模索、ナチス高官らの慢心と警戒。ジワジワとボルテージが盛り上がる。

あとはもう、怒濤の戦場描写ですよ。臨場感がハンパ無い。
特に空撮での超ロングショットによる長回しですよ!この映画の規模のデカさがわかるし、第二次大戦の凄まじさそのままを切り取ったかの様な映像だ。
本当に20世紀ってのは戦争による人の命が軽かったのだと思い知らされる。

群雄劇ならではの人の命の軽い描写と、戦場で戦う兵士らの思い。電線にぶら下がっている着地に失敗した空挺部隊の死体を降ろせという上官、負傷しモルヒネを打たれ救助を待つ一兵士。そこには一人一人の“生”がある。

またナチス側の将校の描写も、昨今のハリウッド描写とは違いちゃんと尊厳がある。思慮深い者、楽観視した物、責任転換する者、勇猛果敢な者。ちゃんと連合国軍側と同じく、良い軍人と悪い軍人が描かれている。
今はとにかくナチスを愚鈍に描きがち。この時代は歴史に平等なんだよね。

人の命の重さと軽さを描ききり、かつ娯楽色も強い。
連合国軍の勝利で終わり、軽快なマーチで“長い一日”は終わる。葉巻を悠然と吸う将校の煙に、ナチス崩壊への序曲を予感させるエンディングの絶妙さよ。
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