もやし

アレックスのもやしのレビュー・感想・評価

アレックス(2002年製作の映画)
5.0
ギャスパー・ノエ監督の作品初めて見ました。
たぶん想像力豊かな人はこの作品は絶対トラウマになるんだろうけど(特に女性)、俺はもう何だか不感症みたいになってきてね…(映画で見る分にはね)


構造としてはメメントと同じだね。スタートからエンドロールが下から上に流れたときはちょっとただならぬ興奮を覚えた。
でもメメントと同じなので、逆再生なのはエンドロールだけ。


物語はただならぬ雰囲気の(真っ暗な中赤いランプと点滅がずっとある)発展場でずっと誰かを切れ気味に探してる男。


そしてそんなことはどうでもよく…
この映画の一番の極悪シーン。凄まじい…


その後色々な展開がある訳だが、それ以前、それ以後全てがその極悪シーンに収束される。全ての展開、全ての台詞がまるで伏線だったかのように機能する。(監督が明らかに意図している部分もある)

この圧倒的な悪の前では例え多少嫌なことがあってもそれは幸せな人生の一部なんだなと思った。
でも世の中にはこれぐらいの辛さを経験してる人が一定数いるのは疑いようがないし、そう考えると、人間の悪意というものは本当に止めどがないなと思った。
しかしそれと同時に、人生というのはたまらなく切ないものなんだなと、思った。



でもそんな映画を娯楽として消費してしまう自分の感度の落ち具合に、もう映画を見るのは止めた方がいいのかもなとすら思ってしまった…(見るけど)



この映画を見終わった後ではもう何も笑いにできないが、個人的にちょっとユーモアを感じてしまったところ。

極悪犯を探す道中で、ナンとかっていうゲイのたまり場知ってるか?と聞くと必ず、お前はゲイなのか?と聞かれて俺はゲイじゃねえ!のやり取りを6回ぐらい繰り返すところ。

あと中国系のタクシー運転手に中国にまつわる悪口を言いまくった末、この北京ダック野郎!と言うところ。

あとヒロインの元カレがセックスが下手だという理由が主でフラレた悲しい奴で、今彼と元カノに、どういうセックスをすれば気持ちいいのかを執拗に聞くところ。その人が口から生まれたような人で、セックス中もペラペラ喋ってるらしい。「あなたはやたら高尚ぶったことをいつも喋っているけど、それが=男の魅力になるわけではないのよ」


その他にも色々ユーモアが散りばめられた映画ですが、どれも絶対に笑ってはいけません…
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