だいごろー

山谷 やられたらやり返せのだいごろーのレビュー・感想・評価

山谷 やられたらやり返せ(1986年製作の映画)
3.5
@国立映画アーカイブ

台東区に位置する山谷という場所はかつて日雇い労働者の街で、彼らを搾取しようとする右翼系暴力団と衝突していた。その闘争の様子を内部から撮ったのが今作。

この作品は凄まじいんだけど、何が凄いかって、オープニングで相手の暴力団員に刺されて息も絶え絶えな監督の姿から始まるという凄まじさ…いや、こんな映画他にないでしょ。
監督はその後死亡。日雇い労働者のリーダー格の青年が監督の意志を受け継ぎ、撮影は続行。完成はするものの、またしても暴力団の襲撃を受けそのリーダー格の青年も死亡という血塗られた歴史という背景を持つ作品である。

闘争の内容も今では考えられないほど壮絶で、車が燃やされたりする映像も映っている。

個人的には労働者たちに激詰めされる雇用者や東京都の職員たちの表情がなかなか見応えあって良かった。

山谷という地名はいまは地図から消えている。実は僕はその近所に住んでいるんだけれど、かつて闘争をしていた労働者たちはいまは高齢化を迎えているそう。よくすれ違うホームレスたちもかつてはこのフィルムに映る青年たちだったのか。