櫻イミト

軍使の櫻イミトのレビュー・感想・評価

軍使(1937年製作の映画)
4.0
フォード監督と全盛期のテンプルちゃん(当時9歳)が組んだファミリー向け軍隊ドラマの傑作。この年ニューヨーク・タイムズは、シャーリー・テンプルを「アメリカ国民の天使」に選出した。

1890年。インドに駐屯する英国軍の大佐の元に孫のプリシラ(テンプル)がやってくる。プリシラは軍隊のマクダフ軍曹(ヴィクター・マクラグレン)と大の仲良しになる一方、捕虜になっている敵のインド部族長カーンとも友人になるのだが。。。

「マクラグレンの奴はシャーリー・テンプルが好きだったし、シャーリーの方も彼になついた。いいコンビの味を生かした脚本が出来たよ。唯一の欠点は・・・愛すべきキャラクターを映画の中ほどで殺してしまうのは、よくないドラマだ。」ジョン・フォード

「アパッチ砦」(1948)でテンプル(当時20歳)を初めて見て、全盛期の子役時代を見てみてみたくなり鑑賞。可愛らしくて演技も素晴らしく、当時のハリウッドで最高のトップスターだったというのにも納得。

映画のベースはフォード監督お得意の軍隊ものだが、そこにテンプルが入って軍隊の規律を壊していくのが面白い。フォード監督の職人技とファミリー向けの荒唐無稽な物語とが良い具合に融合されて、喜怒哀楽にあふれた良作になっている。個人的には後の『騎兵隊三部作』よりも軍隊ナルシズムが軽減された本作の方が好みだった。

劇中テンプルが「オール・ラング・ザイン(蛍の光)」を歌うシーンは、テンプル出演映画屈指の名場面と言われている。

※フォード監督はテンプルを「一発撮りのシャーリー」と激賞。本作をきっかけに交流が続き、後に彼女の娘の名付け親になっている。
櫻イミト

櫻イミト