つばさ

リアル・スティールのつばさのレビュー・感想・評価

リアル・スティール(2011年製作の映画)
4.2
西暦2020年。ボクシングは人間ではなく、ロボットが戦う格闘技に変わる。元プロボクサーのチャーリー(ヒュー・ジャックマン)は、夢を諦め、妻子と離れ、借金を背負い、ロボット格闘技に熱中していた。そんなある日、母を亡くした息子が彼の前に現れる。そして、廃棄されていた練習用ロボット「アトム」を介して、親子の絆を深め、もう一度自らの足で前に歩き出す感動必須の奇跡のストーリー。

あらすじは、このような感じ。
私はラストまでの流れで親子に感情移入し、最後のカタルシスに、涙腺が崩壊しました。
涙が止まらない。
画面がボヤける。
映画って素晴らしい。
だから、映画を観るんだ私は。
感謝、感謝。

しかし、低評価の人も一定数います。それは、どの映画にもいますが……。
その理由として、ご都合主義である点、王道過ぎる展開である点の二つだと思います。
ここが必要以上に思考回路に入って来ると、感動できない人が出てくるのも納得できます。


人間が戦うのではなく、人間が操作するロボットが戦うという斬新なアイディアに魅了されました。
そして、ラストのカタルシスまでの展開までも飽きることのない流れなので、十分に楽しめた。

私が高校生の頃の国語の授業で、川柳を書いて応募しました。
そして、当選し図書カード3万円を手に入れました。
その川柳が、こちら。
「痛み知り、見える景色が、変わるんだ」です。
多くの人には、誰でも書けるし、「が」で区切れてるし、「るんだ」とかおかしいやろと突っ込まれました。
この川柳は当時、怪我が続き、なかなか復帰できない苦しい心境とその痛みを知ったことで新たに得たことを交えたものです。

何が言いたいかというと、人間は誰一人完璧な人はいません。
失敗、挫折、絶望、という経験を味わい、それを糧として、少しずつ成長していきます。
大変な出来事に遭遇し、逃げ出したくなることもあると思います。
しかし、そんな時ほど、一回深呼吸をして、違う視点でその出来事を見てあげてください。
きっと、プラスの面もあります。
プラスの面に気付かなくても、時間が経ち後から気付くこともあります。小さな体験も大きな体験もその一つ一つが今のあなたを築いています。

怪我前までは、普通に楽しい程度の気持ちでサッカーをしていました。怪我をして毎日がトレーニングルームと見学の日々でした。
そして、引退は目の前。
なかなか治らないことに焦り、そして心配かつ孤独でした。
泣いたこともよくあった。

しかし、そこで視点を少し変えてみた。怪我をする前は、淡々とサッカーする日々でした。しかし、毎日、友達と練習をし、チームとして試合で戦うことがいかに貴重な日々かを学びました。
あのまま怪我をせずに、部活を続けていたらそんなことに気付かず、引退していたでしょう。
あのメンバーと練習がしたい、あのメンバーと共に試合がしたいと心の底から思った瞬間でした。
また、怪我という痛みも知りました。同じような怪我をしている人の気持ちが僕には分かります。
怪我で深く苦しんだことのない人には、本当の意味で分かることはできません。

そして、完治した後の久々の練習試合。
誰よりも楽しみ、誰よりも熱い気持ちでボールを懸命に追いかける僕がいた。


この作品でも同じ。

父に捨てられ、母が亡くなり一人になった息子。
廃棄されガラクタ呼ばわりされたアトム。
借金を背負い、妻子と離れ、父親失格のダメ親父。

底辺で生きる三人が自らの足で、そして手を合わせながら、前を進むその姿勢をぜひ堪能してください。