くろーぜっと11

クジラの島の少女のくろーぜっと11のレビュー・感想・評価

クジラの島の少女(2002年製作の映画)
4.3
ニュージーランド先住民のはなし。族長の家系で男子しか相続できないところに女として生まれ(双子の弟と母は出産時に死亡)た主人公の少女。絶望的な状況かと一瞬思うが、実は父親がそもそも古いしきたりから距離を置いてるし、村人もほとんど似たような感じで族長存続の危機などあまり気にしてなさそう。
そんな中にあって思い詰めているのは現族長のおじいちゃんだけかと思いきや、主人公の少女がそれをとても気にしている。
父親は海外で個展を開くアーティストだから身の上は全然自由なはずなのに。
生きる意味がない、みたいなことまで思い詰めてる。いやいやお父さんについて行けばいいのに、と思うけどクジラに乗って現れた預言者の神話とその系譜にあるおじいちゃん、そして自分の宿命と悲劇に魅了されているのだろうか。
周りの村民はもはや現代的な思考/嗜好で生活しているのに、おじいちゃんと少女は素敵な神話を信仰して生きているのだ。

そんな少女はやはり俄然、巫女的な存在感を増していく。最終的には命を賭けた行動もいとわず、族長もついにその存在感を認めざるを得なくなる、、、。

ラグビーのニュージーランド代表オールブラックスのハカがとてもかっこいいのは有名だけど、この映画のは(ハカなのかわからないけど)もっとリアルで震えた。

ラップランドのサーミ人の少女の映画、『サーミの血』も好きだけど、真逆な感じの余韻だ。