ゴン吉

日本の黒い夏 冤罪のゴン吉のレビュー・感想・評価

日本の黒い夏 冤罪(2000年製作の映画)
4.6
1994年に起きた松本サリン事件を題材にした冤罪の裏側を描いた社会派ドラマ。 
中井貴一が主演、寺尾聰らが共演。 

平成6年6月27日の深夜に松本市内の閑静な住宅地で日本犯罪史上稀にみる有毒ガス中毒死事件が発生する。
被害者数は7人死亡586人重軽症。
警察は事件第一通報者の会社員(寺尾聰)を殺人犯と推定する。
マスコミは裏を取らずに報道し、報道された会社員は多くの国民から犯人とみなされる。
しかし事実は会社員も有毒ガスの被害者で、無実であることが判明。
警察は犯人でなことを知りながらも、あたかも犯人であるかのように対応し、自白を強要する。
事件発生11ヵ月後に真実が明らかになり、高校の放送部の二人の生徒たちが、本事件を放送した地元のローカルテレビ局にインタビューして、当時の警察やマスコミの裏側に迫る.....  

善意で警察に通報したがために警察に犯人に仕立てられた一般市民の会社員。
何としても犯人に仕立てようとする警察。
真偽よりも視聴率を優先して派手に報道するマスコミ。
そして報道を間違って解釈する国民。
日本の警察、報道の問題点を描いた骨太作品。
こういう社会体質だからこそ冤罪が絶えない我が国。
それによって苦しむ人々が後を絶たない。
マスコミの報道に惑わされなように真実を見極められるように務めなければならないと再認識させられた作品です。
冤罪で警察に捕まらないためにもこの作品は観ておくべきでしょう。
本作品を作ってくれた熊井啓監督に感謝です。
「人間の醜い部分と優しい部分を見たような気がします 大勢の人に助けられたし、友人は神部がやってないと言うならやってないと最後まで私を信じてくれました。世の中そんなに捨てたものではないと思います...... 疑惑は晴れようとも 私たちにとっての本当の闘いはこれからだと思います」 

2022.10 BS12で鑑賞     
ベルリン国際映画祭ベルリナーレ・カメラ賞受賞作品。
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