砂利川権兵衛

あの夏、いちばん静かな海。の砂利川権兵衛のレビュー・感想・評価

4.5
北野武、あまりにも、あまりにも……。

久石譲の音楽と「存在しない思い出」のフラッシュバックはあざといが、多幸感あふれる記念撮影シーンからの急転直下には頭を殴られたような気分になった。真木の喪失を言葉ではなく画面に映った事物のみで伝えようとする武の演出から、映画なるものへの強い志向を感じて嬉しくなる。省略の美学はここに臨界を迎え、映像詩の域に達した。タイトルバックも完璧。