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あの夏、いちばん静かな海。のmylifeのレビュー・感想・評価

4.3
懐かしさ余って「あの夏、いちばん静かな海」を再鑑賞してみた。北野武監督の作品。今回で2回目なのだが初めて観たのは何時なんやろう。もうかれこれ20~30年ぐらい前まで遡ると思うがハッキリとは覚えてはいないや。

主演は真木蔵人。後の「BROTHER」の方が何回も観ているので印象深いが改めて触れてみると、こちらの方が数倍難しい役どころに挑戦していたのが今更ながら見てとれる。ところで、若い頃は特にイケメンやねぇ。

先日観た「キッズ・リターン」のように俳優ビートたけしの姿はソコにはいない。監督業として専念しているのは本作と「キッズ・リターン」だけやったっけかな…多分。詳しくは知らないが、そんな特別な想いがありそうな雰囲気が漂う作品のようにも感じる。

聴覚と発声障害を持つ二人。そんな主人公の茂と彼女の貴子の二人の物語。二人の声を聞くことは出来ないが淡々と進むテイストは見るものを何処か惹き付ける感じだ。

北野監督の作品って他のもそうだが割りと静寂な雰囲気のものが多い。本作はそのセンスを違う角度で展開しているのも当時にしては興味深い内容でもあった。

障害を持つ茂だが手話で語ろうとはしない。筆談で伝えるコトも無くあくまで表情でしか感情を表さない。それは彼女の貴子といる時でさえ。その辺は、もっと伝える手段ががあるやろう…なんて、やきもきさせるが不器用な感じが似合っているかのよう。サーフショップのオーナーが大人で良き理解者なのがポイントにも思える。

しかしながら、単なるスポ根のような作品にしないのが北野武流。ラストの展開も個人的には好みではあるのだ。敢えて、こちら側に身を委ねてきているのも不思議な余韻が残る。 

色々な北野監督の作品を観てまわって何だか一周回って今回、再鑑賞した訳やけど当時よりも余裕で浸ってしまった感じ。久石譲の音楽がまた心地好くて相性抜群なのも…再認識した今日この頃である。
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