イチロヲ

ゼイリブのイチロヲのレビュー・感想・評価

ゼイリブ(1988年製作の映画)
4.0
大都会を宛てもなく放浪する肉体労働者の青年が、偶然手に入れたサングラスを利用しながら、ヒトやモノに内在する本質部分を見抜いていく。プロレスラーのロディ・パイパーが労働者階級のホワイト・トラッシュを好演している、サスペンス・ホラー。

サングラスを通してモノを見ると、重なるように言葉が可視化される。販売店には「消費せよ」、商品には「購入せよ」、新聞には「信用せよ」、旅行の広告には「結婚せよ」、お金には「神」といった具合に。この一発勝負のアイデアがとても面白い。

本編ドラマでは、エリート層の胸三寸によって操作されている社会構造を背景にして、知りすぎた男になった主人公と侵略者の戦いが展開。然るべきところに提出すべき案件なのに、然るべきところが全員敵という四面楚歌。

この手の作品では、主人公が孤立無援で戦っていくスタイルが多いのだが、本作では反体制軍に加入した主人公が体制側と正面衝突する展開になっているので、非常にエキサイトすることができる。「後に引きずる終わり方」にもハイセンスが感じられる。
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