荒野の狼

ゼイリブの荒野の狼のレビュー・感想・評価

ゼイリブ(1988年製作の映画)
3.5
劇中の、サングラスをかけろかけないで5分間もの殴り合いを笑う人がいるようだが、マスクをつけろつけないで、三年間以上も叩き合ってた我々はどーなのよ?
全編ほぼ現実、事実なのだが、そうであるからこそ、これくらいチープでボカさぬと表せなかった事は、当時や過去の映画作品ではよくある事で、精一杯の抵抗を試みた跡は容易に見て取れる。ようやくネット時代になって、気づき始めた人たちが声を上げるようになったが、あげたところでこの連綿たる支配の歴史に逆らう事はできない。サングラスをしようがしまいが結果は同じである。「目覚めよ」と言うが、むしろ知らぬ方が幸せだ。その事実を投げかけているこの映画こそ「サングラス」そのものなのであるが、かけてもかけなくても(この映画を見ても見なくても)多くは依然として気づく事はないだろう、ましてや『1984』なんて誰も読まないだろうしね。
「この世は有名人のためにある」と、皮肉っぽく書いたのは山本夏彦だった。ならばそれに気づいた我々平民はどうすればいいか。選択肢は二つしかない。必死に抵抗して潰されるか、あるいは頑張ってあっち(潰す)側に行くしかないのである。歴史に名を残すものはいつも強い者だけである。庶民は永久にB級という事だ。
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