かんふーきゃっと

いのちの食べかたのかんふーきゃっとのネタバレレビュー・内容・結末

いのちの食べかた(2005年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

※ネタバレは無いけれど、文章が気に障る恐れアリ。ご注意を※

○人によってはショッキングな映像となっている。私はこの映画を絶対に観るべきだとは主張しない。だが現実に余りにもありふれているだろうこれらの場面を対し殊更に騒ぎ立てる方には、ほんの少し、距離を感じる。いや皮肉るのは止そう。私も意識せずに恩恵を受け、食しているのだから。

○植物と動物の効率化された生産風景が交互に映し出される。普段の生活をする上では目にしない風景。いや、より正確には目にしにくいだけだ。人間が気持ち良く過ごせるように伏せられている裏側。といってもそこまで大層なモノでもない。例えば皆様の就いているお仕事の現場において、全てをお客様に公開してらっしゃるだろうか。自分の職場をサンプルに少し想像力を付加すれば、それらは他業種にも応用出来る筈だ。職業に貴賤無しとわざわざ言わねばならない程度には差別が有ることに気持ちが重たくなる。効率化された社会とは分業制の意でもある。彼ら彼女らは我々がせねばならなかった仕事をしているだけだ。自身に湧き起こった罪悪感は噛みしめこそすれ、あの人達は残酷だとなじる行ないはすべきではない。そのことを理解する手助けに、この静かな映画は確実になるだろう(冒頭で書いたこととは矛盾するけれど、知らないなら観た方がいいわな。スキャンダラスにはしたくなかったと監督が述べる通り、非常に落ち着いた目線で製作されている作品だし)。

○知ったかぶりをしてしまったけれど、実際に見慣れない作業の数々はとても機械的で人の業を感じた。それ自体が人の思い上がりなのかも知れないが。

○冷静なレビューが並ぶ中、毒気を処理し損ねた私の感想は刺々しくなってしまって恥ずかしい限り。恥ずかしいついでに述べてしまうと、人間も例外ではないな、と感じた。あと点数化は難しいのでナシで。