のんchan

或る殺人ののんchanのレビュー・感想・評価

或る殺人(1959年製作の映画)
4.1
『落下の解剖学』の鑑賞余韻をまだ引きつつ、ジュスティーヌ・トリエ監督がこの作品を参考にしたと知り俄然観たくなったのです。

160分の法廷ミステリーですが、多分100分は法廷シーンです。
しかし全く飽きることなく面白く観れました。
オットー・プレミンジャー監督はとても野心的で、時代に逆らい映画的タブーに挑戦しそれを打ち破って来た方です。この作品には当時"禁止されている言葉"をふんだんに散りばめていて、かなり下ネタも使っています。


元検事で今は閑古鳥の鳴く弁護士事務所を開いているビーグラー(ジェームズ・スチュワート)はある日、1本の弁護依頼の電話を受ける。それはローラ(リー・レミック)という女性からで「殺人事件の容疑者として夫(ベン・ギャザラ)が勾留されている。私をレイプした男を射殺したからだが助けて欲しい」と。勝ち目のない弁護だが、秘書に給料も払えていない状況を打破するため、検察側の切れ者検事ダンサー(ジョージ・C・スコット)に追い詰められながらも、ユーモアも入れつつ陪審員を引き込んで勝利を目指す。


パンティ、性行為、避妊薬、精液、オーガズムなどの言葉が溢れる。

この作品のMVPは私的には裁判長。おとぼけで、検事や証人らから口に出た言葉を何度となく陪審員に「今のは聞かなかったことにして」と言うのが愉快。

音楽担当はデューク・エリントン。
作中に楽団での生演奏シーンがある。デューク・エリントンとジェームズ・スチュワートがピアノの連弾をするシーンもあった。


『落下の解剖学』は法廷の雰囲気の緊迫感や若干の抜け感などをトリエ監督が勉強したのかな?と想像しながら観終えた。
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