のんchan

狂った一頁ののんchanのレビュー・感想・評価

狂った一頁(1926年製作の映画)
3.8
1926年(大正15年)製作。
ほぼ100年前のサイレント作品。ジャンルは....ホラーのよう。

興味深いのは、監督が当時新感覚派の文学者、横光利一や川端康成らと結成した連盟で制作していて、日本初の本格的アヴァンギャルド作品ということ。

脚本は川端康成、衣笠貞之助、犬塚稔、沢田晩紅の4人での共同制作だったが、撮影終了後は川端康成名義となった。
日本版『カリガリ博士』(1920年)のようだわと観終えて思ったが、やはり強い影響を受けているらしい。
古いので画像は粗いが、光や影のコントラスト、フラッシュバック、クローズアップ、多重露光などの技法が駆使されていた。


舞台は精神病院。
何かに憑依されたかのように踊り明かす女、手先だけを見つめている女、何か大声で叫んでいる男...外は大雨、鉄格子の中で繰り広げられるそこは別世界。

病院の小使いとして働いている元船員の男は、長い期間を留守にして家庭を顧みなかったため、妻は孤独で精神を病んでいた。自責の念から夫は妻を見守るためにそこで働いていたのだが...
娘が縁談の報告を母にするためやって来た時、疎遠だった父がいたことに驚き嫌悪する。そこから患者たち含めて喧嘩になり...
小使いは患者たちに能面を配り自分も付けて幻想の中へ。


これは筋書き云々よりも、とにかく日本初の前衛物ということ、画期的な映像を含め全てが稀少価値に魅力がある。
それをアマプラ観れるのは大変に有難い。
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