chaooon

或る殺人のchaooonのレビュー・感想・評価

或る殺人(1959年製作の映画)
3.9
現在上映中の『落下の解剖学』が本作をオマージュしているというお話を小耳に挟んだので、先に鑑賞👀(ちょうど1001映画だ!)

若い陸軍将校フレデリックが妻を強姦した男を射殺する殺人事件を中心にした法廷劇。
ロバート・トレイヴァーのベスト・セラー小説『殺人の解剖学(Anatomy of a Murder)』の映画化📕

オープニングクレジットからソウル・バスのタイトル・デザインだし、劇伴がデューク・エリントンのジャズのメロディーで全体的にオシャレな演出🎶
どうやらこういうのは当時のハリウッド映画ではあんまりなかったらしい!

主演は『素晴らしき哉、人生!』のジェームズ・スチュワートで事件の裁判の弁護士役✨
寂れた法律事務所の弁護士ポリーの元に弁護の依頼が入るところから物語がスタートするし、あくまで弁護士目線で時系列通りに展開していく。
法廷劇なので討論のやり取りで見せる映画なのはもちろんだし、裁判と共に新事実が浮上したり、過去の状況や人間関係が少しずつ見えてくる作りだけど、事件の回想シーンが一切ないという徹底ぶり。

証拠や証言から裁判の結果は出るけど、事実は結局なんだったのかは最後まで怪しいという作りは面白い。
そしてこの殺人を犯した陸軍将校フレデリックも妻のローラも怪しさ満点
レイプされたと主張するけど証言もなんか粗があるし証拠も不十分、何よりローラ自体がとんでもなく扇情的で善人には見えない始末!

そしてこの裁判がまた攻めた内容!
殺人事件の背景にレイプ事件が絡んで来るので、その詳細の追求にも話が行くけど、被害に遭ったと主張する妻の検査からレイプの痕跡が出なかったことから、相手の妊娠能力の検査や捜査だったり、脱がされたパンティの行方の追求があったり、裁判でそんなことまでするんだ〜、というかそういうのを映画として描くのか〜って結構驚き!
しかも「パンティという言葉は法廷に似つかわしくない!」みたいな討論を裁判長と弁護士・検事でこっそり談義してたりするから、なんか面白い🤣
どうやら当時の映画においても、「パンティ」「レイプ」「性行為」「精液」「避妊薬」「オーガズム」等はタブーだったみたいだし、かなり上映時は論議された模様🤔

ラストシーンもやっぱりな!って感じの展開というか世の中のエグ味みたいなのを感じるけど、なんとなく小粋な見せ方で後味は悪くなくて見終わった後は面白い映画見たなあって清涼感はある😋✨
chaooon

chaooon